世界一わかりやすい東大の英語合格講座 レビュー
この記事を書いている者は2024年夏の東大実戦模試で英語17/120点の完全なる英語弱者です。
記事執筆時は受験直前期であり、コロコロ参考書を変えるのもどうかと思いますので、あらかじめそのおつもりで読んでいただけたらと思います。
世界一わかりやすいシリーズの東大英語版である、世界一わかりやすい東大の英語合格講座についてレビュー記事がなかったため、一冊終えた後にレビューしてみたいと思います。
この本の骨子
東大の英語は、
- 「ディスコースマーカー」
- 「対比」
が鍵だと述べられている本です。そして、同様の視点を持っていれば、古文は除いて、漢文・現代文・並びに英語に関しては共通の一貫性を持った解き方ができるのではないでしょうか、ということが述べられています。
したがって、Amazonのレビューなどでは、所謂「東大英語を攻略するためのテクニック本」としての、どちらかといえばマイナス面の評価が目立ちます。
主に2005年度から2009年度までの東大英語、その他国立大学、私立大学の入試英文と、その解説をもとに構成されており、ページ数は447ページです。
章立ては以下の通りです。
- 第0章 入門編
- 第1章 読解編
- 第2章 文法・語法編
- 第3章 英作文編
東大受験生はもはや耳タコで頭に入っているものと思われますが、上記の章立てでは4(A)問題が第2章に、2(A)が第3章に対応し、その他のリスニングを除く読解・英文和訳問題等が第1章に対応しています。
この本を一冊やり切ったきっかけ
基本的に参考書は書店で見てから買っているものの、メルカリをはじめとするフリマサイトでも書籍を購入するため、英語に伸び悩みを感じていた私は、フリマサイトで「東大の英語27ヵ年」と「世界一わかりやすい東大の英語合格講座(以下「この本」と記載)」をセット販売している方を見つけ、購入しました。
基本的にAmazonレビュー等で悪い評価があれば、その参考書や問題集をあまり積極的に使用したがらない、というのが受験生の性であるように思いますが、メルカリの出品者様はどうやら東大卒らしく、この本を最後までこなしている痕跡が見えました。
したがって、工業高校卒低学歴ミーハーな私は、東大卒の方が最後までこなしているのだからやってみようと一冊やってみました。
Amazonレビューとの「対比」
さて、この本でも述べられている「対比」というものがどういったものか、一番わかりやすい例として、Amazonレビューと私の個人的レビューとの対比があると思われます。
著者が口酸っぱく述べているのは、東大の英語では「偏った一方からの視点や意見」ではなく「並列的な二つの視点や意見」から文章を読み解く力が求められている、ということです。それが「対比」であり、それを俯瞰的に見ることができ、要約等に含めることができれば、なお良いといったところでしょうか。
そして、その2つの視点を繋ぐ・言い換える・転換するためにはディスコースマーカーが使用されるよね、というのが著者の主張です。
Amazonレビュー
少し拝見させていただいたところ、以下の通りに集約できるものと思いました。
【否定的な意見】
① テクニック本に成り下がっている。
② 著者の自慢が鼻につく。
③ 誤訳がある。(2009年前期試験の英語の 「healthy poverty and simplicity of mind,」を「健全な貧しさと素朴な心」と訳している・要約の回答に載せている)
④ そもそも著者は東大を出ているのか、こんな本を出していいのか。
【肯定的な意見】
① 関西大学の英語には役に立つ。
② 英語が苦手な人にはおすすめできる。
③ 段落整序問題には有用である。
著者の主張が正しいのならば、英語に関して上記の両面的な意見を俯瞰的に見れる能力を東大は求めていることになり、私はそれには概ね同意です。往々にして我々受験生は、参考書のレビューや評価などについて、偏った意見に左右されがちであることから、俯瞰的に観察する冷静さは必要かと思います。
私の個人的レビュー
私はそもそも英語が苦手なので、個人的にこの参考書は有用でした。
私も、肯定的部分と否定的部分に分けて記載してみます。
【肯定的意見】
① まず問題が提示され、それは長文であるが、解説は1文or1段落ごとに省略なく記述されている。
② 類推しなくても良い単語は類推しなくて良いと書いてある。
③ 受験生ならば誰もが知る単語の解説が記述されている。
【否定的意見】
① 序盤は説明がくどく、鼻につく感がある。
② この本の読者だけはこの読み方ができる、などのセールストークが含まれている。
具体的な個人レビュー
邪険にされる要因
この本は東大入試の英文をもとに、問題ごとに1レッスンとして記述されており、問題文の提示がありその後解説がなされる一般的な構成となっています。
その解説では1文or1段落ごとに省略なく記述されているため、英語の苦手な私は読み進めやすく大変助かりました。そして、省略なく記述した上で、「この英文段落にはディスコースマーカーが含まれていないので、軽く読み飛ばしましょう」といった記述があります。なぜなら、具体例などは本文の要旨には何ら関係がないからです。
おそらくその辺りが、英語ができる人には鼻につき、テクニック本だと邪険にされる要因なのではないかと思います。「そんなんじゃ東大英語は乗り切れない」と。しかし、個人的には、東大入試の英語で何点必要かは受験生個人の特性によるところが大きいと思うので、そこまで邪険にしなくてもいいのではとは思います。
実際に読み進めてみると、確かにくどくどしく「2つの視点」「対比」「ディスコースマーカー」と何度も何度も、本書の最後まで説明されるため、ノイローゼになりそうですが、まあ確かにそれはそう。と思える部分も多くありました。
例えば、小説の英文に関しては、「マイナスイメージからプラスイメージ」で終わるといった対比構造が多いこと、段落整序問題では、ディスコースマーカーに着目していくと、「言い換え可能な英文」が設問の前後空欄を埋める大きなヒントになることなど、吸収できる部分は多々ありました。
amazonレビューにおいて、肯定的な意見の多くは、この「段落整序問題の解法」にあったのではないかと思います。
また、個人的には基本的な単語の説明が意外にも役に立ちました。これは英語の学習が苦手で、英語が苦手な人にしか通用しないものかもしれませんが、例えば「grow」という基礎単語は英語弱者は「成長」と直訳してしまいがちですが、
「grow」→ 肉体的成長
「grow up」→ 肉体的成長 + 精神的成長
などと、単語にも2つの視点があると説明されます。したがって、それがくどいと感じる人にはおすすめできない本ではあります。
ディスコースマーカー
この本で述べられているディスコースマーカーは、一般的に知られているもの、例えば「However」「but」「and」「also」などの他に「change」「alter」「vary」など変化を表すもの、「differ」「new」「fresh」など違いを表すもの、そして、そもそも仮定法や強調構文もディスコースマーカーであると述べられており、本書を学ぶ前のイメージよりは適用範囲が広いなと思いました。
しかし、著者の言い分を意訳すれば、「対比を表す言葉」が「ディスコースマーカー」とも言えるので、東大英語ではそれを意識しながら読み進めると、上手く適用できるのかもな、とも思いました。つまり、著者の定義するディスコースマーカーとは2つの視点を切り替えるもの、同じくするもの、比較するものに大別されるのではないでしょうか。これは現代文の記述において、著者のあげた具体例は記載しないなどの定石にも繋がる気はします。
まとめ
雑で申し訳ございませんが、まとめると、英弱にはおすすめかもしれない本です。